2012.04.23【社長会見】東海道新幹線 地震防災システムの機能強化について
東海道新幹線では、沿線での揺れを直接とらえ、決められた範囲で自動的に送電を停止する「沿線地震計」とともに、沿線から離れた箇所にある「遠方地震計」で地震動のP波を検知して早期に必要な範囲で自動的に送電を停止して列車に緊急停止指令を出す「東海道新幹線早期地震警報システム(通称:テラス)」からなる「地震防災システム」を設置しています。また、平成20年には、気象庁からの緊急地震速報をテラスと併用して多重化するなど改善を重ねてきました。
このたび、地震時の安全性の更なる向上を図るべく、直下型地震や連動型地震が発生した際の列車停止指令をさらに早期化するとともに、地震防災システムのバックアップを強化するため、遠方地震計からの情報伝達経路に衛星回線を活用し、地震計のバッテリー容量を増やします。
なお、今回の機能強化は、当該システムの情報を活用している在来線の地震対策の強化にもつながります。
1.東海道新幹線の地震防災システムの概要 (別添「概要」)
以下により、早期かつ確実な列車への緊急停止指令につなげます。
(1)直下型地震に対する早期警報機能の強化 【技術開発】 (別紙1)
沿線地震計で、P波(初期微動)を検知し地震の揺れの大きさ(震度)を推定するよう機能を強化し、運転規制の基準値(震度4程度)を
超えると推定した段階で列車に停止指令を出します。
(効果) 直下型地震発生時の列車停止開始までの時間を1〜2秒短縮します。
(2)連動型地震に対応する機能の強化 【東日本大震災の知見】 (別紙2)
連動型地震の想定震源域内で一定規模以上の地震が発生した場合に、地震が連動することを見越して、列車に停止指令を出します。
(効果) 連動型地震発生時にも、いち早く列車に停止指令を出します。
(3)P波(初期微動)がごく小さい地震にも対応する機能の強化 【東日本大震災の知見】 (別紙3)
遠方地震計で、P波(初期微動)が非常に小さく、東海道新幹線沿線に影響がないと判定した地震であっても、その後のS波(主要動)
で一定の揺れ(120ガル)を検知した場合には列車に停止指令を出します。
(効果) より早く確実に地震をとらえ、列車に停止指令を出します。
(4)通信回線の断絶や長時間停電への対応を強化 【東日本大震災・台風災害の知見】 (別紙4)
地震や台風等によって万一、地上の通信回線が断絶しても着実に列車に停止指令を出せるように、バックアップ回線に衛星電話を
用いることとします。
また、各地震計に電気が供給されない場合でも、機能を維持できるよう、バッテリーの強化(現状:4時間→遠方地震計:72時間、
沿線地震計:24時間)を図ります。
(効果) 異常時でもより確実に列車にシステムが稼働し信頼性が向上します。
2.在来線の地震防災システムへの効果
在来線では、これまでも東海道新幹線の地震防災システムの情報を活用していましたが、上記(1)〜(3)の情報を受けることにより、在来線の地震対策はさらに強化されることになります。
<参考:在来線の仕組み(概要)>
・在来線では、必要な箇所に設置された在来線用の沿線地震計及び新幹線の地震防災システムからの情報により、地震の影響が
大きいと判断される区間の列車に自動的に警報を発する。
・警報を受けた列車の運転士は直ちに非常ブレーキをかけ列車を停止させる。
3.工事完了予定
(1)直下型地震に対する早期警報機能の強化
着手 :平成24年5月
工事完了 :平成25年7月
(2)連動型地震に対応する機能の強化
着手 :平成24年5月
工事完了 :平成25年3月
(3)P波(初期微動)がごく小さい地震にも対応する機能の強化
着手 :平成24年5月
工事完了 :平成25年3月
(4)通信回線の断絶や長時間停電への対応を強化
着手 :平成24年5月
工事完了 :平成25年7月
※なお、いずれも工事が完了した箇所から使用を開始していきます。
4.工事費
・約3億6000万円
※詳細は別紙をご覧下さい。
「東海道新幹線 地震防災システムの機能強化について」 ( 497kb / PDFファイル)
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