2009.12.10定例社長会見(平成21年12月・大阪)
◆ 東海道新幹線地震対策の進捗状況について
平成7年1月の阪神・淡路大震災からまもなく15年を迎えるということもあり、これまでの当社の地震対策の取り組みと、10月にもお知らせをした新たな地震対策である、脱線・逸脱防止対策の概要、および関西地区での施工概要についてお知らせします。
東海道新幹線の地震対策は、東海地震対策として、国鉄時代からも、トンネルの耐震補強、落橋防止対策、軟弱地盤の盛土補強などを行ってきました。また、世界に先駆けて、平成4年には、地震動早期検知システム(当時はユレダス、現在はテラスというが、)を開発するなど、地震対策には早くから取り組んできています。
15年前に起きた阪神・淡路大震災の当時は、山陽新幹線はもちろんのこと、東海道新幹線でも、京都・新大阪間の高架橋等に72箇所もの損傷があり、復旧するまでの間東京・京都間で折り返し運転をしたということもありました。
この阪神・淡路大震災以降、緊急対策として、当社では高架橋柱の耐震補強を進め、さらに東海地震の想定地震波形に基づき当社独自で、対策を拡大しています。
まずは、これまでの対策について紹介します。
高架橋柱の耐震補強については、阪神大震災以降、緊急対策を含め、これまでに計画の19,600本のうちの一部を除いて完了しています。盛土については、シートパイル・タイロッド工法により、また下段の橋脚についても、地震動が特に強いと想定される地区についての耐震補強対策を追加しています。また、平成17年には、地震警報システムを改良し、早期地震警報システム「テラス」を導入し、警報発信時間を3秒から2秒に短縮するなど、地震に対する備えを強化してきました。検地点は、21箇所、沿線地震計は50箇所あります。そのほかにも、首都圏に大規模災害が発生した際のバックアップとして、平成11年に第2総合指令所を大阪に開設しました。
以上のような対策を行っており、構造物対策も平成26年度内目途に完了予定であります。
一方で、平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震により、構造物に大きな損傷がない場合であっても上越新幹線を走行中の新幹線が脱線するという事故が発生しました。
これを受け、地震時の脱線防止と逸脱による被害の拡大防止を目的とした対策の検討に着手し、当社の小牧研究施設の試験装置を活用した実験による脱線メカニズムの解明、本線への試験敷設など、実用化に向けて必要な検討を着実に進めてきました。この度、その検討結果が取りまとまったことから、従来から進めてきた東海道新幹線における地震対策に加え、新たに脱線・逸脱防止対策を実施することとし、10月にお知らせをしたところです。
まず、脱線防止ガードについてご説明します。脱線防止ガードは平成18年10月から本線敷設試験を実施し、施工性や保守性などに問題がないことを確認しました。これらは東海地震で特に地震動が強いと想定される地区及び脱線時の被害拡大のおそれが大きい高速で通過する分岐器の手前区間を中心に、軌道延長140kmに敷設します。
次に、逸脱防止ストッパを車両の台車中央部に設置し、万一脱線した場合に、先ほど説明した脱線防止ガードで逸脱防止ストッパをガイドし、車両が線路から大きく逸脱するのを極力防止します。逸脱防止ストッパは、300系を除く、700系・N700系に今後投入するN700系を加えた142編成を対象として設置を行います。
また、脱線防止ガードを有効に機能させるため、土木構造物対策も実施します。地震時に土木構造物に生じる大きな変位を抑制することを目的に、@バラストの流出を抑制するためにバラスト止めを実施し、A盛土についてはのり面補強を行い、B高架橋は水平目違い対策、X型補強でゆれの増幅の抑制を行います。このうち、脱線防止ガードについては、関西地区では、延長約20kmに亘り施工します。設置するのは、高速通過するポイントの手前としては、米原駅、および栗東・鳥飼基地の3駅のポイントの前後となります。
現在、設計作業やガードを取り付け可能な枕木への交換作業を行っています。このうち、栗東基地については、2月頃から、脱線防止ガードの取り付け作業を開始する予定です。
◆ 新大阪駅改良計画の進捗について
現在新大阪駅では、新幹線ホーム等の改良と駅コンコース等の改良の2つの大規模改良工事を進めていますが、その進捗状況についてお知らせします。この工事は、毎日の新幹線輸送を確保した中で、数多くの線路切換を行うとともに、在来線の駅や新御堂筋の上空にホームを新設するなど、多くの難しい工事を行うことになります。
まず、新幹線ホーム等の改良については、輸送の安定性と増強のために、27番線の線路とホームの新設、及び引上線を現状2線から4線にする工事を進めています。現在、高架橋の新設工事が本格化しています。高架橋は地中部分の基礎工事がおおむね完了し、地上部分の躯体工事を施工しています。
また、高架上の線路では、上り本線の移設に先立ち、博多方の亘り線の移設工事を平成19年12月より進めてきましたが、分岐器の設置が先日完了しました。今回新設した分岐器は、全長127mに及ぶものであるため、これを5つに分割して設置工事を行いましたが、それぞれ重量にして約20〜60tあります。しかも、現場は高さ約15mの高架橋の上であり、クレーン等の大型機械が使用できないため、設置工事は人力で行いました。このような分岐器を、営業列車を運休させず、夜間の作業時間帯のみで設置する工事としては、JR東海の実施した中で過去最大級のものであります。11月29日の未明に最後の部分を設置しましたが、当日は約230人もの社員・作業員が工事にあたり、最終列車から始発列車までの限られた短い時間で無事に作業を完了しました。今後、電気関係の工事・最終調整を行ったうえで、来年1月10日に新しい亘り線として使用開始する予定であり、全体工事を進める上での重要な節目を迎えることになります。今後、平成24年度末の27番線の使用開始および平成25年度中の引上線を含めた全面使用開始に向けて、工事を進めていきます。
次に、駅コンコース等の改良については、駅北側地区との歩行者動線の整備、入出場可能な改札口への変更等を図り、ご利用しやすい駅とするため、駅施設などの改良工事を行うものですが、現在、コンコース内の天井改良工事を順次進めています。仮設ステージの設置に当たり、お客様の通行の妨げにならないよう柱は細くし、通路脇に配置しました。またコンコース空間全体を明るくするため天井面に光が漏れる照明器具を採用するなど、工事中であることを極力感じさせないような対応を行っています。平成24年度末のきっぷうりばおよび改札口のリニューアル完了に向けて、工事を進めていきます。
今後とも引続き安全に留意し、着実に計画を進めていきたいと考えています。
※詳細はこちらをご覧下さい http://jr-central.co.jp/news/release/nws000429.html
◆冬のキャンペーン展開について
当社では、関西地区のお客さまに、新幹線を使った楽しいご旅行をしていただけるよう、首都圏向けには「トーキョー☆ブックマーク」キャンペーンを実施しています。また、首都圏など他地区から京都向けには「そうだ、京都 行こう」キャンペーンを継続して展開しています。それぞれのキャンペーンと、この冬の取り組みをご紹介します。
@トーキョーブックマーク
「トーキョー☆ブックマーク」とは、インターネットのブログを活用し、「口コミ」で多様な東京地区の楽しみ方をご案内すると共に、ジェイアール東海ツアーズをはじめ旅行会社と連携してお得な旅行商品を販売するという取り組みであり、平成17年下半期から商品展開を開始しています。平成18年上期と比べて、今年の上期の実績は約8倍となっており、10万人を越えるお客様にご利用いただく人気商品に育ってきています。
サイトでは、東京の豊富な情報を分かりやすくご紹介しています。「いちおし東京遊び」「東京エリア検索」「クチコミ☆トーキョー」といった情報コンテンツが充実していて、そのまま新幹線とホテルがセットになったお得な宿泊プランを申し込めます。なお、ご好評いただいている「東京本」もVol.8にリニューアルし、12月下旬から対象の旅行商品をお申込みのお客様へプレゼントする予定です。
この「トーキョー☆ブックマーク」サイトを、一人でも多くの方にご覧いただきたいという想いを込めてこの冬は「珠玉の東京プレミアムキャンペーン」を実施しています。これは「トーキョー☆ブックマーク」サイト内のキャンペーンサイトにアクセスし、クイズに答えて、人気ミュージシャンのライブ、コスメ、豪華ディナーといった東京ならではのプレアミアムな3つのコースからご希望のものを選んで応募いただき、抽選のうえプレゼントするというオープンキャンペーンです。
なお、抽選に外れても、ご登録いただいた方に「トーキョー☆ブックマーク」限定のとっておき情報をメールマガジンでお届けするので、多くのお客さまにサイトをご覧いただき、応募していただきたいと考えています。12月16日(水)には、大阪市内においてパンフレットの配布を予定しています。
「トーキョー☆ブックマーク」サイトでは、このキャンペーン以外にも、素敵な時間をお過ごしいただける多彩で旬な観光情報や旅行商品の情報をご紹介しており、是非に一度ご覧下さい。
A「そうだ、京都 行こう」
最後に、「そうだ、京都 行こう」キャンペーンをご紹介します。
「そうだ、京都 行こう。」キャンペーンについては、この冬も、昨年に引き続き「母と娘が一緒に京都」と銘打って、冬の京都の凛とした空気の中、女性ならではの視点で京都をご体感していただくことを切り口にキャンペーンを展開しています。今年のキャンペーンでは、女性二人が祇園エリアの巽橋そばに佇むビジュアルを採用して、母と娘、水入らずの京都旅行の魅力をPRしています。
キャンペーンでは、実際に冬の京都の伝統文化を体験していただこうと、着物姿で京都の町を散策していただく「着物体験」や「和菓子づくり体験」など様々な伝統文化体験メニューをパンフレットでご紹介しています。また、ジェイアール東海ツアーズにて対象の旅行商品をお申込みのお客様には、お食事・お買い物の際に割引を受けられる優待券や一部の神社の絵馬の引換券がついた「特典ブック 初春の京都」を制作しているので、是非ご活用下さい。
この冬も、この関西の地の観光を盛り上げるため、京都に多くのお客様をご案内できればと考えています。
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