2010.04.26定例社長会見(平成22年4月・東京)
◆東海道新幹線・変電所機器切離し設備の使用開始について
新幹線の変電所機器の切離し設備の使用開始についてお知らせします。
新幹線の電力供給を行う変電所の構内で、一部の機器に雷害や機器故障による地絡と呼ばれる事象が発生し、継続した場合には、現地に係員を派遣し物理的に機器を切り離すまで、長時間送電再開できません。このような事例が、この12年間で6件発生しており、再開までに70〜160分を要することがありました。
このため当社では、平成17年3月に発生した事象を契機に、このような変電機器の雷害や機器故障時においても速やかな送電再開ができるよう、抜本的対策として、総合指令所から遠隔制御で変電機器の切り離しを行う、「切離し断路器」を設置する工事を平成19年に開始しました。
東京〜新大阪間にある50ヶ所の変電所等を対象として、合計539台の断路器を設置するという工事を慎重に順次進め、3年を要しましたが、本年3月に全ての工事が完了しました。
この工事で新設した「切離し断路器」により、落雷や機器故障が発生した際には、主回路から故障機器の切り離しができ、しかも、その切り離しは総合指令所から遠隔操作できるようになっており、これまで90分程度かかっていた送電再開が、今後は10分程度でできるようになります。
また、変電所では、電力会社から受けた電気を主変圧器で新幹線用の電気に変換し、電圧を計測する計器用変成器、架線に2万5千ボルトの電力を供給する単巻変圧器、落雷時の保護のための避雷器などの機器を介して、架線に電力を供給しています。
今回、この「切離し断路器」を設置し、これらの機器に故障が発生した場合には、総合指令所からの遠隔操作によりこれらの断路器を開放することで、故障した機器を切り離すことができ、速やかな送電再開が可能になります。
工事費は約34億円です。
なお、単巻変圧器にこのような断路器を設置している例はありますが、避雷器、変成器にまで設置したのは国内では東海道新幹線が初めてです。
本工事の完了により、雷害や機器故障による停電時の早期復旧が可能になり、東海道新幹線のより一層の安定輸送が確保できるものと考えています。
※詳細はこちらをご覧ください。 http://jr-central.co.jp/news/release/nws000510.html
◆「構造物三軸繰返し試験装置」の導入について
当社「小牧研究施設」では、「鉄道技術のブラッシュアップ」、「新しい分野への挑戦」に資するための様々な技術開発に取り組んでいます。今回、さらなる安全安定輸送に資するために、「構造物三軸繰返し試験装置」を設置しました。
東海道新幹線や、在来線の土木構造物については、これまでも適切な維持管理を実施していますが、今後とも継続して安全安定輸送を確保していくためには、これらの構造物の健全性を維持向上していく必要があります。
これまで、小牧研究施設では、数値解析や一部外部の試験設備を使用した縮小模型試験体により、構造物の耐力や健全度を把握し、最適な補修、補強方法に関する技術開発に取り組んできましたが、この数値解析、小型模型の試験では、実物の性能を必ずしも精度よく再現できない場合もあり、実物大での試験ができれば、構造物の実態をより正確に把握することができます。
そこで、小牧研究施設に、実物大の構造物を用いた試験が可能な「構造物三軸繰返し試験装置」を設置し、本年3月より稼働を始めましたので、お知らせします。
この試験装置の導入目的は、
・構造物を新設する際に高性能で低コストな設計を行う。
・耐震補強の方法として必要な部分のみ補強するなど安全でかつ低コストな仕様を検討する。
・現在の構造物の健全性を正確に把握して、補修や補強の必要性ならびに方法を検討する。
など、実物大での試験によって、より確実な解決方法を作り上げることです。
この装置は、コンクリート製の反力床と2つの反力壁から構成される幅8m×奥行7m×高さ10mと非常に大きなもので、最大載荷荷重は500tを有します。
このレベルの大型試験装置は、他の鉄道会社にはなく、また大手建設会社並みの規模・性能です。
なお、工事費は約3億円です。
今後も、安全安定輸送の確保を中心とした技術開発に取り組んでいきます。
※詳細はこちらをご覧ください。http://jr-central.co.jp/news/release/nws000509.html
◆JR東海 「うまし うるわし 奈良」キャンペーン“唐招提寺”篇について
奈良キャンペーンについてお知らせします。
今年は710年に奈良・平城京に都が置かれてちょうど1300年という記念すべき年を迎えています。4月24日には「大極殿」が公開となり、メイン会場がある「平城宮跡」でのイベントが始まりました。イベントは秋まで続き、この1年、奈良に訪れる観光客も増えるだろうと思います。
当社では2005年より「うましうるわし奈良」キャンペーンを展開し、これまで「東大寺」「薬師寺」「法隆寺」「興福寺」「西大寺」「春日大社」「平城宮跡」などを採り上げ、寺社や仏像、景観など、奈良ならではの歴史や文化を中心に紹介し、東京、静岡地区から奈良への旅の誘いを継続して行ってきました。
今回のキャンペーンでは、「唐招提寺」を採り上げます。唐招提寺は唐の高僧である鑑真和上が759年に「戒律を学ぶ寺」として創建したお寺で、昨年には、現代の建築技術の粋を結集した10年にも及ぶ金堂の大修理が完了しました。
今回のCMでは鑑真和上像をはじめ、金堂、蘆舎那仏坐像・千手観音立像・薬師如来立像の三尊などを採り上げ、鑑真和上が伝えた精神が1300年間、現在に至るまで脈々と引き継がれていることを紹介します。
テレビCMは5月8日〜23日に東京・静岡地区で放送します。なお、名古屋・大阪地区については提供番組のCM枠で放送します。
2010年、平城遷都1300年記念事業として、地元奈良でも様々なイベントが開催されています。当社としても本キャンペーンを行うことにより、東京地区・静岡地区をはじめとして「今年の奈良が特別な年」であることを幅広く周知し、多くの皆様に1300年を迎える記念の年に、奈良を訪れていただきたいと思います。
奈良を訪れるにあたり大変お得な旅行商品もご用意しています。
特に、JR東海50歳からの旅クラブ「50+(フィフティ・プラス)」では、今回のキャンペーン地である唐招提寺を訪ねる日帰りツアーをご用意しています。
通常非公開の御影堂や東山魁夷の障壁画などの見学や、唐招提寺の僧侶による“講話”を受けていただくことにより、鑑真和上を偲び、今に伝わる鑑真和上の描いた理想や心に触れていただけます。
その他、往復新幹線とホテル宿泊がセットになったフリープランもご用意しています。
是非、1300年を迎える奈良をお楽しみいただきたいと思います。
※詳細はこちらをご覧くださいhttp://jr-central.co.jp/news/release/nws000508.html
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